証 担当者:そぼりん 010610
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  今でも鮮明に憶えている
  噛みしめた布の奥から漏れる自分の苦鳴
  全身を伝う脂汗
  強く握り締めた手からは血が流れていたが
  それに気づかないほどに肌に針を入れる激痛は凄まじかった

  通常の刺青の何十倍もの痛みを伴う紋章を刻む“儀式”
  出来得る限りの紋章を刻んでくれと俺は志願した
  もっと力を得るために
  もっと奴等に対抗できるように
  二度とあんな思いをしないために

  全身を流れる血を洗い流したとき
  青い紋章が露になった
  額には炎
  腕には風
  足には雷
  胸には光

  力を得るために刻んだ紋章
  自ら逃げ道を絶つために刻んだ紋章
  戦い続ける宿命を
  逃げることは許されない宿命を
  自らに課した

  紋章を見るたびに思う
  これは俺の強さの証
  そして弱さの証